「『暗記』より『理解』が大事」
このフレーズは、よく見かけます。
正直なところ、替え歌で覚えていた私は一度もこのフレーズのように実感したことがありません。
実感としては「暗記」ができないときは、「理解」もできないし、「暗記」ができたときは「理解」もできたという印象です。
「どちらかを取る」という印象はありませんでした。
ただ、当たり前といえば当たり前かな
ぐらいに思っていたのですが、他の暗記法をひたすら行う修行僧スタイルの人を観察していて少し気づいたことがあります。
それは2点です。
1.「理解が大切」は、「日本語が大切」といっているのと同じ
税理士試験に限らず、資格試験において日本語がきちんとできるかどうかは重要です。
ただ、それを殊更、強調されても、全然ピンとこないのは当たり前です。
2.「歌で覚えた」ために自然と意味が理解できるようになっていた。
「『暗記』より『理解』が大事」というフレーズを私が全然ピンとこなかったもっとも大きな要素は「歌って覚えていた」ことにありました。
歌にすると、歌詞の意味はだんだん頭に心に沁みこんでくるものです。どんな歌でもそういうものです。何度も聞いていると聞けば聞くほど意味が理解できるようになってきます。
「歌にすると歌詞の意味が分からない」のであれば、CDなど売れません。
ただの文章よりも歌になると心の突き刺さるので、人は歌に涙し、感動し、熱狂するのです。
一方、念仏のように唱えて覚えている人たちは、機械的に音を覚えるようです。そのために意味を理解することができなくなります。
念仏の意味が心に沁みこんでくるという人は普通はいないことでしょう。よほど勉強している僧侶にでもならないと念仏では意味がわかるようにはならないと思います。
「書いて覚える」人にはまた別の問題が生じます。
まず映像として覚えるときには、人は意味を理解できません。本の写真をとっただけでは、記録には残せますが、再びその写真の文字をじっくり読まないと意味は分かるようになりません。
そして、
「書く」作業は一文字ずつしか行えません。言葉は一文字では意味を成しません。文節、文章単位で意味を構成します。それで、書いているときにはその文字の前後数文字にしか注意が向かず全体の意味がとらえられなくなるようです。
私も受験時代には、それほど書いて覚えることを行いませんでしたが、小学校時代に、教科書の文章を書き写すということを授業中に行ったことを覚えています。
だれよりも早く書こうと一生懸命書いて、だれよりも早く終わったのですが、後から3行程度抜かして書き写していたことを先生に注意されて、書き直しをさせられました。
3行もセリフを抜かすと、教科書のストーリーは意味が全くつかめません。
ただ、必死で書いているときはそんな全体の意味などは考えもしませんでした。
そんな小学生時代の私の失敗を「書いて覚える」税理士試験の受験生の多くがしているのだと思います。
「意味をとらえずひたすら書く」わけです。
それで、「書いて覚える」、「読んで覚える」という人たちは、『理解』がおろそかになったまま暗記するのでしょう。
そのために殊更
「『暗記』より『理解』が重要」
ということが強調されてきたようです。
つまり、わかったことは、
「『暗記』より『理解』が大事」
という人は暗記方法が悪かったということです。
筆記も暗唱もなぜか、暗記のために行うときにはスピード感を持って行います。意味など考えないトランス状態です。
一方、歌はスピード的には節があるのでゆったり歌うことがあります。歌は歌うときに歌詞の意味を考えて歌うことができるのです。
というより、歌は歌詞の意味を考えながら歌うものです。しかも歌の歌詞全体です。1番を歌っているときに2番の歌詞を思うこともあれば、2番の歌詞を歌っているときに1番の歌詞を思い出すことというのはよくあることです。
まとめとして、
「日本語が大事」ぐらい当たり前の話とは書いたものの、歌の力は日本語だけに限りません。
「花子とアン」で書いたように、歌は最初は意味が分からない外国語の歌でも歌えたりします。
そして、最初は意味がわからなかった歌詞も、先に記憶ができるので、その後繰り返し歌っていくうちに意味も分かるようになり、今度は歌の範疇を超えて、英語自体もしゃべれるようになる人も多くいます。
「これ本当に日本語?」と思えるような税法条文も、歌って覚えると、まず、記憶ができ、繰り返し歌っているうちに意味がだんだん分かるようになります。
しかも、全体的な意味がとらえられるようになるのです。
さてさて、あなたはどんな方法で暗記をすすめますか?
「理解」を置き去りにする方法ですか?
それとも、だんだん「理解」できるようになる方法ですか?
※そうした隠された効果もありますので、「キーワードだけ歌にして」とか「冒頭の字だけ歌にして」ささっとやればいいでしょ的な工夫はとりあえずしないで、『税理士試験-替え歌暗記法』のノウハウをまずはそのまま実行することをお勧めします。
「替え歌暗記法」の特徴として、やってもいないのにタイトルだけで分かった気になって、意見を述べたくなったり、自己流の工夫をいろいろやってしまいたくなるという欠点があります。(裏を返せばだれでも簡単にできる暗記法ということです。)
ただ、税理士試験の試験対策に限っては、いろいろ細かい特有の失敗があるので、あえて書籍にしました。それで、せっかくですから、是非お役立てください。
「iphoneでない」という声も時々寄せられるのですが、この暗記方法を実行する際に大半の人が使うので、この電子書籍を読むためにも、ipod touchあたりの購入をお勧めします。